茶道のイメージで、最も有名?な所作が、「自分の手元に来たお茶碗をくるくるまわす」ではないでしょうか。
まわすのには、ちゃんと理由があります
お茶碗にはそれぞれ『正面』があります。お茶碗をぐるりと一周まわしてみると、一番華やかに絵付けされている場所がそのお茶碗の正面です。
お茶碗を回すのは、お茶碗にとって一番位の高い場所を避けてお茶をいただくことで、亭主への敬意を示す意味があります。
裏千家の茶道ではお茶をいただく時は時計回りに2回(2周ではありません!正面が戻ってきてしまいます(笑))、少し正面の絵柄を外していただくイメージです。
お茶をいただいた後は、反時計回りに2回まわし、正面を元に戻します。
常に正面が意識されて動いています
お茶を点てる時、亭主は常にお茶碗の正面を自分の方に向けてお点前を行います。同様にお客様に正面を向けて差し出し、そのお茶が運ばれてきて、半東(亭主を補佐してくれる係)が、お茶碗の正面をあなたに向けて差し出してくれます。なので、手元に来た時は必ずお茶碗は正面を向いていますから、手元に来たら、何も考えずに時計回りに2回、まわすだけです。
飲み終わり、正面を自分の方に戻して待っていると、半東が取りに来てくれます。この時、自分の方に向いているお茶碗の正面を時計回りにまわし、半東にお茶碗の正面を向けて渡します。
一般に向けたお茶会などは誰でも気軽に参加できるので、参加した際は一度試してみてはいかがでしょうか?
絵柄のないお茶碗の場合
ちなみに、お茶碗には絵柄のないものがあります。絵柄のないお茶碗にも正面があります。
お茶碗を裏返すと刻印があります。刻印が左に来るようにお茶碗を持つとそこがそのお茶碗の正面です。お茶碗の作者がお茶碗の正面を定めて刻印を押しているのです。
実際にお茶をいただく時に裏返してみるわけにはいかないので、お茶を飲み終わった後両手でお茶碗を包み込むように大切に持ち、そっとお茶碗を傾けてみてください。その刻印を確認することができます。
慣れてくると触っている感覚で分かるようになるので、お点前の途中でも意識することができますよ