世界に誇れる日本文化の一つと言われる茶道。
茶道はお抹茶を入れて楽しむだけでなく、茶道具やお茶室に飾る美術品、茶室や庭などの住まいに関する空間や、お茶会ごとに出てくる会席料理や和菓子などの食、さらには、生きていく上での目的や考え方など広い分野にわたって様々な文化が加わって発展した結果、日本の文化をぎゅっと凝縮したような存在になったといっても過言ではないと思います。言い方を変えれば、総合芸術と言えるかもしれません。
わび・さび
茶道では「わび・さび」という言葉がよく用いられますが、これはわびしい、寂しいという満たされない状態を認め、慎み深く行動することを示しています。この「わび、さび」の精神を大切にし、茶室という静かな空間でお茶を点てることに集中することで、心を落ち着かせます。そのことによって自分自身を見直し、精神を高めていくという精神文化も確立されていきました。
作法
茶道では入門してまず初めに習うのは作法です。作法を通じて身につけることができるのは「おもてなしの心」ではないでしょうか。自分を下げ、お客様には思いつく限りの丁寧な対応をします。
お点前(おてまえ)
お客様の前で、お茶を点(た)てる、この作法全般をお点前といいます。
そもそも、お点前はなぜ必要?
お手前は、本来であれば裏方でできるような、お道具を清めたり、茶碗を温めたりする作業です。しかし茶道ではなぜこれを、お客様の目の前で見せる必要があるのでしょうか?
それは、入れたばかりの熱いお茶をお客様に飲んでいただきたいという心遣いの表れと、何もやましいことはしていないですよ(発祥の時代柄、毒をもったりしていませんよ)という証明のために、全ての道具をお客様の目の前で清めるところから始めるのです。