よく、薄茶(お薄・おうす)と濃茶(お濃茶・おこいちゃ)という茶道の言葉を耳にすると思います。
そもそもその違いって・・・?
薄茶(お薄)と濃茶(お濃茶)の違い
読んで字の如く、お薄とは少なめのお抹茶で点てられたお茶で、例えるとシャバシャバとしたイメージです。
対するお濃茶とはたくさんのお抹茶を使って「練る」ので、見た目からドロリとしたイメージの仕上がりになります。
それぞれのお点前に使用するお茶碗にも多少の違いがあり、お薄は薄手のお茶碗で美しい絵柄が入っているのが特徴で、季節に合わせて色々なお茶碗を楽しむことができます。
夏にはガラスのお茶碗が登場したり、冬には冷めにくいように深めの作りの筒茶碗が登場したり、、飲む人に対して涼しさを演出したり、冷めないような工夫がされていたりするので、茶道の様々な心遣いを感じることができます。
また、お濃茶のお茶碗は、楽焼の楽茶碗のように柄が入っていない格式の高いお茶碗が使用されています。
一般的によく設けられているお茶席は大体がお薄なので、茶道を習っていない方は馴染みのある方がお薄だと思います。
具体的なお話をすると、そのお抹茶を提供するための作法(点て方)は全く違います。入門するとまず最初に習うのがお薄のお手前です。(厳密に言えば、お薄のお手前にもたくさんの種類があります。)
お濃茶のお点前は格式が高いものとされているので、上級になるにつれてお濃茶のお点前を習うことになります。
お濃茶用の抹茶とお薄茶用の抹茶ではその製法に特に違いはありませんが、濃茶の方が良し悪しが顕著に現れます。なので、濃茶として使われる抹茶には苦みや渋みの強い下級品ではなく、良質で上品な香りとまろやかな味わいを持った上級品を選ぶことが重要になります。
濃茶は苦そう・・・(>_<)
「ただでさえ苦みのあるお抹茶をドロドロになるまでたっぷりと使って作るお濃茶は苦くて飲めないんじゃないの?」
そんな疑問を持っていらっしゃる方も多いともいます。ちなみに私も初めてお濃茶を飲むことになった時は、めちゃくちゃ苦いことを想定してビビりながら飲んだことを覚えています。
しかし、今お話しした通り、お濃茶には上級のお抹茶を使ってあるので、甘みがあってお抹茶の旨みを存分に味わうことができる、贅沢な一杯だと言えると思います。
お薄は一人で飲みきるのに対して、お濃茶は二、三人で回し飲みするという飲み方の特徴などもあり、お点前によって徐々に色々なルールを身につけていけるのも茶道の楽しさの一つなのではないでしょうか。